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日本酒（清酒）は、日本が世界に誇る日本の国民酒です。
日本酒は、世界の三大微生物とも言うべきカビ、バクテリア（乳酸菌）、酵母の三種
類をまとめて使用しています。ひとつのタンクの中でデンプンの糖化とアルコール発酵を同時に行いながら、しかも乳酸菌を自然発生させるという、世界に類を見ない程の複雑な醸造方法から生まれ
るのです。ビールやワインなどは、麦芽やぶどうに含まれる糖分を酵母によってアルコール発酵するだけですから、
【だけと言ったら関係者の方に怒られるかもしれませんが･･･】 それと比較すると日本酒が、いかに複雑な方法で造られているかをお判り
いただけるはずです。【
また、日本では長い歴史の中でアルコール耐用性酵母が育成され、醸造酒としては世界最高といわれる２０％以上までアルコール分を高める事が可能です。世界三大貴腐ワインのひとつであるフランス．ソーテルヌ地区のシャトー．ディケムは、ワインとしてはアルコール分が高い事で有名ですが、このシャトー．ディケムでさえこの
レベルに達することが出来ません。日本酒の多くの醸造元が、発酵だけで２０％前後のアルコール分を造り出せる事は、醸造技術的にはとても凄い事なのです。【
一方、瓶詰めのビールやパック詰めの牛乳を殺菌する方法は、大化学者パスツールが発明し、１８６５年にフランスのアカデミーに報告したことから、パスツーリゼイション（低温殺菌法）と呼ばれています。実は日本人の先祖は、このパスツーリゼイションに先立つこと３００年ほど前から、同じ原理の「火入れ」という技術を経験的（体験的）に身につけていました。日本人は、清酒の腐敗を予防して保存性を高めるテクニックを、長い間の経験からあみだしていた訳ですから、これまた日本酒が世界の最高水準の醸造技術をもって造られてい
たと言う証しと言えます。【 以上三点のどの一つをとって見ても、日本酒の醸造技術が、世界の醸造史上、他に類を見ない程優れていることに 間違いありません。またその風味は、強からず、弱からず、甘すぎず、辛すぎず、自然に醸し出される柔らかにして奥深く、馥郁とした香味があり、まさしく二千年来の先祖が、様々な体験を積み重ねて到達した芸術品 と言えます。ですから日本酒は、実は日本人が世界に誇ることの出来る「日本の文化であり伝統芸術品」なのです。
このように、日本酒は世界に誇る事ができるアルコール飲料にもかかわらず、この事を知っている日本人が意外と少ないのが現実です。以前日本の某トップソムリエからこんな話を聞いた事があります。その方が十何年前に世界ソムリエコンクールにて入賞を果たした祝賀会の席上で、ある外国人から「君の国にはＳＡＫＥ（清酒）と言う素晴らしいお酒があるらしいが、どんなお酒ですか？」と聞かれた時に、清酒に関する知識がなく て全く答えられなかったので、「君はワインの事に詳しくても、自分の国のお酒の事を知らないのだね。」と言われてとても恥をかいたそうです。それ以来、その日本のトップソムリエの方は日本酒に目覚め、現在では日本酒の普及、啓蒙活動に多大な力を注がれておられ、 その活動に対しては敬意を表したいと思います。私共は、もっともっと多くの日本人の方に日本酒の素晴らしさを再認識して欲しいと思います。 伝統ある国家（民族）は、いずれも独特の酒を持ち、その酒はその国家の発展に大きく寄与してきた経緯があります。たとえば、イギリスのスコッチウイスキー、フランスのワイン、ロシアのウォッカ、イタリアのヴェルモット、ドイツのビール、中国の老酒などです。これらはそれぞれの国の気候、風土、生活習慣などの中から 自然に生まれた酒であり、それぞれの国家の人々はその酒を誇りとしています。でも日本人はどうなんでしょうか．．．？ ビールやバーボンやカクテルも良いけれど、私はアメリカナイズする事がベストとは思いませんし、また海外で生活する機会が多ければ多いほど、自分のルーツは何処なのか（自分が日本人である事）を強く意識するようになるという経験談をよく耳にします。 自分が日本人である以上、国際化の時代にあっては自国の国民酒である日本酒のことを詳しく知ると 共に、もっと誇りを持つべきですし、また日本酒の伝統を次世代に継承していく責任と義務があると思います。
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